糖尿病とは
炭水化物(糖質)は、生命維持に欠かせない栄養素です。糖質は代謝・分解されてグルコース(ブドウ糖)となり、血液に取り込まれて全身へ送られ、細胞のエネルギーとして利用されます。
この血中のグルコース濃度(血糖値)は通常、インスリンやグルカゴンといった一連のホルモンによってコントロールされています。特にインスリンは、血中のグルコースを筋肉や肝臓に蓄えさせ、血糖値を下げる働きをもつホルモンです。
糖尿病とは、このインスリンの作用が何らかの原因で低下し、血糖値の高い状態が継続してしまう疾患のことです。メカニズムの違いから、1型糖尿病と2型糖尿病に大別されます。血糖値の高い状態が継続すると、血管が傷ついたり詰まったりしやすくなることで、様々な症状が現れます。
糖尿病の原因と症状
1型糖尿病とは
「インスリンを作っているすい臓のランゲルハンス島(細胞)の働きが何らかの影響で阻害され、体内で作られるインスリンがほとんどなくなってしまう」というメカニズムで発症する糖尿病です。
1型糖尿病の場合、体外からインスリンを補給することが大変重要です。
?せた方、若い方も発症することがあります。
急激に発症し、病状の悪化も急速であることが多いです。
糖尿病患者さんの約5%がこの1型糖尿病です。
2型糖尿病とは
「血中のインスリンの量は充分あるにもかかわらず、作られたインスリンがうまく作用しなくなる」あるいは「血糖値が高い状況にあっても、インスリンの分泌量が上昇しづらくなる」というメカニズムで発症する糖尿病です。
2型糖尿病の場合、原因となる生活習慣(食習慣など)の改善と運動、および投薬による治療を行うことが多いです。
肥満の方、中高年の方、身内に糖尿病患者さんがおられる方が発症することが多いです。
症状が緩やかに悪化してゆき、気が付かないうちに重症化することが多いです。
糖尿病患者さんの90%以上はこの2型糖尿病です。
糖尿病の症状
糖尿病の前段階として、血糖値が高い状態が続くと
- のどが渇く
- 尿の回数が増える
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
といった症状が現れます。
また、これを放置して糖尿病が進行してしまうと
- 足先のしびれ、麻痺、痛みを感じないなど感覚の異常(神経障害)
- 網膜出欠、網膜剥離、失明など(網膜症)
- 腎機能の低下(腎症)
- 足などの壊疽、心筋梗塞、脳梗塞など(大血管症)
といった重篤な合併症を引き起こすことにつながります。
糖尿病の治療
糖尿病は、合併症が出るまではあまり目立った症状が出ない病気ですが、
ひとたび合併症が出てしまうと、神経、眼、腎臓など全身のいたるところに不都合が生じ、生活の質(QoL)が著しく低下してしまいます。
したがって、糖尿病の治療は「糖尿病による合併症を起こさない」「糖尿病による合併症の出現を遅らせる」「現在出ている合併症を悪化させない」ために、血糖値のコントロールを行うことが基本の形となります。
1型糖尿病の場合
1型糖尿病の患者さんは、体内でほとんどインスリンを作れない状態になっているため、インスリン注射による薬物療法が必須となります。
また併せて、食後の血糖値上昇に大きく影響する食物の摂取量を調整する、などといった工夫を行う場合もあります。
2型糖尿病の場合
2型糖尿病の患者さんの場合、まずは食事と運動の習慣を見直すところが基本となります。
食事療法としては、
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 3食を規則正しく、バランスよく食べる
- 腹八分目を心がける
- 夜遅くに食事をしない
- お菓子、アルコール、塩分などは、医師と相談の上で摂り過ぎないようにする
- 一食当たりの炭水化物の量をある程度一定にそろえる(カーボカウント)
などといった治療を行います。
また運動療法としては
- ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を行う
- 足や腰、背中などの大きな筋肉を中心に筋力トレーニングを行う
といった治療を行います。
※運動の強度(きつさ)は医師と相談の上決定します。高齢者や合併症の重い方などには必ずしも当てはまりませんが、一般的にはややきついと感じる程度の運動が良いとされています。
その上で、患者さんひとりひとりの体質(肥満の有無、インスリンを作る力の度合いなど)に合わせて
- インスリンの分泌を促す薬
- インスリンの効きを良くする薬
- 食事で摂った糖質の吸収を遅らせる薬
- 糖質の排泄を促す薬
などといった薬を選択します。
恵比寿内科クリニックでは
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