男性型脱毛(AGA)とは
男性型脱毛(AGA)とは、成人男性によくみられる、髪が薄くなる状態のことです。
その抜け毛の進行には主に3つのパターンがあり、全国で1,260万人(20-69歳の成人男性の約3人に1人)がAGAであると言われています。AGAは進行性ですので、早めに治療を開始することが重要です。
男性型脱毛(AGA)の原因と症状
男性型脱毛(AGA)は、男性ホルモン「テストステロン」が、毛根にある「5αリダクターゼ(5α還元酵素II型)」という酵素により「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されることがきっかけで起こります。
ジヒドロテストステロン(DHT)は毛根にある「毛乳頭」という部位(髪の毛の産生と成長をつかさどる部分)の細胞に働きかけ、髪の毛の産生と成長を止めるよう機能します。
DHTの受容体は前頭部から頭頂部の毛根に多く存在し、側頭部や後頭部の毛根にはあまり存在しません。そのため、AGAは前頭部から頭頂部にかけて進行することが多いです。
そもそも髪は
- 成長期(新しい髪の毛が太く長く成長する期間: 2-6年)
- 退行期(髪の毛の成長が止まり、毛球が退縮する期間: 2-3週間)
- 休止期(毛穴の奥で成長し始めた新しい髪の毛に押し出され、古い髪が抜け落ちる期間: 3-4ヶ月)
というサイクルを繰り返して成長します。
ジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭に働きかけ、髪の毛の産生と成長を止めるよう機能すると、通常は2年から6年続く「成長期」が数か月から1年程度にまで短縮されてしまいます。
すると、髪の毛が十分に成長する前(細く短い軟毛)の段階で「退行期」に移ってしまい、だんだんと「新しく伸びる髪の毛」の割合よりも「抜け落ちる髪の毛」の割合の方が多くなってしまいます。
AGAは20代以降に発症するケースが一般的です。
- 額の生え際から後退していくタイプ(M型)
- 頭頂部から薄くなるタイプ(O型)
- 前頭部から薄くなるタイプ
- それらの混合型
など、様々なタイプが存在します。
AGAは、遺伝によって「発症する確率」が左右されます。自身がAGAになりやすい遺伝子を持っていると考えられる場合は、早期に治療を開始し、進行を抑えることをお勧めいたします。
男性型脱毛(AGA)の治療法
男性型脱毛(AGA)の治療では、患者さんの状態に合わせ、主に以下の4種類のお薬を使用します。
フィナステリド
フィナステリドは、「ジヒドロテストステロン(DHT)」を作り出す「5αリダクターゼ(5α還元酵素II型)」の働きを阻害するお薬です。厚生労働省に承認されたAGA治療薬です。
一般的に、このフィナステリドを毎日1錠半年間内服していただき、この半年間で抜け毛が減るなど効果が見られた方にはさらに(5年間程度)継続して服用いただくことで90%以上の方にAGAの症状改善がみられることがわかっています。
しかし、AGAの進行度合いや年齢、体質などによって効果が実感できるまでの期間は変わってきますので、根気よく治療を続けことが重要です。
デュスタリド
デュスタリドは、フィナステリド同様「ジヒドロテストステロン(DHT)」を作り出す「5αリダクターゼ(5α還元酵素II型)」の働きを阻害し、同時に「5αリダクターゼ(5α還元酵素I型)」の働きも阻害します。こちらも厚生労働省に承認されたAGA治療薬です。
ミノキシジル
ミノキシジルは血圧降下薬(高血圧のための治療薬)として開発されたお薬ですが、副作用として血管拡張作用による発毛効果が認められ、AGA治療薬としても用いられるようになりました。効果を実感するには、これも半年から1年程度続けて投与することが望ましいです。
カルプロニウム
カルプロニウムは局所的な血管拡張作用により、毛嚢、毛包への血流を増加させ、薄毛の改善、発毛効果が期待できるお薬です。
【リスク・副作用】
ミノキシジルの内服薬に関しては、顔面等のむくみ、多毛、血圧低下等のリスクが報告されています。
【医薬品医療機器等法上の承認(異なる目的での使用、未承認医薬品等であることの明示)】
ミノキシジルの内服薬に関しては医薬品医療機器等法において国内で承認されておらず、自由診療となります。
【入手経路等】
当院で使用しているミノキシジル内服薬は、「医師等の個人輸入」により、適法な輸入許可を得て輸入しております。(日本では、未承認医療機器を医師の責任において使用することができます。)個人輸入において注意すべき医薬品等についてはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/healthhazard/
【同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等の有無】
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
【諸外国における安全性等に係る情報】
重篤な副作用等の報告はありません。
女性の薄毛
昨今は男性だけでなく、女性にも薄毛のお悩みが増加しています。
女性の薄毛は、「びまん性脱毛症」と呼ばれる、「頭髪が全体的に薄くなる脱毛症」であることが多いです。
こちらも進行性ですので、おひとりで悩まれる前に、早めの治療/ご相談をお勧めいたします。
女性の薄毛の原因と症状
女性の薄毛に多い「びまん性脱毛症」の場合、
その原因は非常に複雑であり、複数の要因が絡み合っていることが多いのですが、
代表的な要因を二つ記載いたします。
加齢
加齢に伴い、先述のヘアサイクルが短くなることで「成長期」にある毛髪の割合が減ってしまう、という要因です。これにより、太くコシのある髪の毛がちゃんと育つ割合が減ってしまい、全体的に髪が薄く見えるようになってしまいます。
ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスが崩れるという現象ひとつとっても、元をたどればストレスや生活習慣など多岐にわたる場合があるのですが、最も代表的なものが40歳代~50歳代に入ると増えてくる閉経の影響です。それ以前とはホルモンバランスが大きく変化するので、これもヘアサイクルを短くする要因となってしまいます。
他にも、自律神経の乱れ、遺伝、膠原病などの全身性疾患の影響などが、薄毛の要因となりうると知られています。
女性の薄毛の症状としては
- 頭頂部をはじめとして、髪の毛一本一本が細く軟らかくなる
- 抜け毛が増える
- 頭皮の地肌が目立つようになるといったものが代表的です。
男性型脱毛症のように、髪の毛が完全に抜け落ちてしまうことはまれです。
女性の薄毛の治療
上記のような薬の中でも、
「ミノキシジル」「カルプロニウム」を用いて治療にあたることが多いです。
どちらの薬も、血管拡張作用による発毛効果が期待できます。
恵比寿内科クリニック・恵比寿皮膚科クリニックでは
男性型脱毛(AGA)の治療のための内服薬として、「ジヒドロテストステロン(DHT)」を作り出す「5αリダクターゼ(5α還元酵素II型)」を阻害する「フィナステリド」を中心に処方しています。(1錠あたり税込270円)
この薬は内服により前立腺の検査値(PSA)が変わることがありますので、内服前に検査を行っています。
恵比寿近郊にお勤めされている方は、JR・日比谷線恵比寿駅より徒歩1分の恵比寿内科クリニック・恵比寿皮膚科クリニックにご来院ください。
気を付けていただきたいこと
抜け毛、薄毛の進行を少しでも遅くするために、日常生活の中でも気を付けるべき項目として
- 頭皮や頭髪にシャンプーが残らないよう、たっぷりのお湯ですすぐ
- 髪のもととなるタンパク質やミネラルを多く含んだ、バランスの良い食事を心がける
- 毛根付近の血行を悪くし、髪が栄養不足になることを防ぐため、たばこは控えめにする
などといった注意点がございます。
また、フィナステリドなどのお薬の副作用として、リビドーの減退(出現率 1~5%未満)、勃起機能不全(出現率 1%未満)などが生じることがございます。医師と相談しながら、患者様に適した治療方針を選択してゆきましょう。